遺言執行とは、民法の遺言の執行(第1004条から第1021条まで)に定められる行為のことをいいます。民法において、遺言の方式や効力について整備されていますが、この方式に従い有効な遺言であっても十分ではありません。これが絵に描いた餅としないためにも肝要となるのは、遺言の執行となります。
遺言の執行は、法律上、誰であっても行うことができますが、さまざまな公的機関、金融機関等とのやり取り等、遺言のとおりに正確・迅速に遺言を執行するためには、専門知識、技能、能力が必要です。また、遺言者の最期の思いを実現するためには、生前の遺言者と遺言執行者との十分な意思の疎通が求められます。遺言は、人の「最後の意思表示」といわれ、遺言者の意思ひとつで行うことができます。したがって、その解釈にも多くの余地があります。
「遺言書に書いた本来の意思と異なる」
「本当はこのようにしたかった」
このように考えることもできなくなってしまうのが「死亡」するということです。
平成29年の民法改正において、第1012条第1項に「遺言の内容を実現するため、」の文言が追加されましたが、遺言の執行を業とする我々としては、これは念願の一文だったのです。
この追加文言からも明らかであるように、死亡した依頼者の意思を実現することこそが、遺言執行者の本来的任務なのでしょう。
当事務所では「最後の意思表示」に止まらず「最期の意思表示」まで実現できるように、依頼者の遺言を執行したいと考えます。